
連載「Voice Up Japan Meijiに聴く」では、様々な疑問をVoice Up Japan Meijiのメンバーたちに投げかけます。メンバーとして活動するみんなは、何を考え、どう行動を起こしているのでしょうか?
今回は、2021年6月まで翻訳チームのリーダーを務めたひーちゃんにインタビューをしました。前編・後編と2回に分けてお送りしています。
今回の後編では、コロナの影響でアメリカ留学から帰ってきて、日本の良さに初めて気づいた話、Voice Upの仕方などなどについて聞きました。前編を読んでない方はぜひ前編も読んでください!前編はこちら
聞き手・編集:ハナ
写真:ひーちゃん
目次
Q1.アメリカから日本に帰ってきて、どういう経緯で明治大学に入ったの?
Q2.日本に帰ってきて、逆カルチャーショックはあった?
Q3.ルームメイトと暮らして苦労したことを日本で思い出すことはある?
Q4.アメリカに戻ることが決まっているけど、今の率直な気持ちは?
Q5.これから社会の中で、どうVoice Upしていきたい?
Q6.病気とか、なにかの当事者と暮らしている人にアドバイスできることがあるとしたら、何だろう?
今とこれから
Q1.日本に帰ってきて、どういう経緯で明治大学に入ったのか気になる。
ひーちゃん(以下、ひー)
まずその話をするまえに、なんでアメリカに行ったかを話したほうが手っ取り早いから、そこから話すね。
小中高と英語で授業を受けてたけど、「おはよう」から「おやすみ」まで英語で生活してたわけじゃないから、そういう生活をしたいという思いもあったんだけど、日本に居たくないという気持ちもあったのね。
なんとなく生きづらいなと思ってた。
しがらみとかも多いし、主要な大学が全部東京に集中してて、みんな東京に向かっていく感じがなんか好きじゃなくて、自分の国があんまり好きじゃなかったんだよね。
でも、自分の国のジェンダーに関する状況はどうにかして変えたいと思ってて、だからジェンダーに関する学問を学べるアメリカの大学に行ったんだけど、そこでまたルームメイトが登場してきまして、ある日私を眠らせてくれない夜があって…(笑)
何について話したかというと、自分の国に対する愛の深さについて話しあった。
アメリカ人の彼女は、アメリカが何年経っても差別や格差がなくならないこと、そして、それらが終わらないことに問題意識を感じていて、この国を良くしたいという志を持ってた。
彼女の場合は、先生になるのが夢で、音楽の先生に。
で、社会の豊かさを教えたいと思ってる。
未来の世代を変えることで、どうにかなるんじゃないかってすごい信じてて、その強さに圧倒されたの。
自分の国嫌いだけど、それでも向き合っていこうとする強さとか。
で、加えて、日本の魅力についても語られたのね。自分の国じゃないのに(笑)
私は日本のことを誇りに思ってなかったから、彼女が日本について話しているのを見て、「自分の国を素直に愛せないって不幸だな」と思ったの。
そこから日本人っていうアイデンティティが自分の中に形成していった感じがある。
そのひとつに目を向け始めると、自分の中で日本社会の意味合いが変わってくる感じがすごいした。
それと同時に、日本のことを知らないなって気付いたんだよね。
ずっと英語で教育を受けるっていう特殊な環境で過ごしてきたから。
もちろん日本人がいる学校に行ってたんだけど、日本を見てはいないなって思って。
日本人として、現状どのくらい自分が日本を知っているかの力試しをして、より日本社会を知ることで自分がどこでなにをしたいかを見極めたかった。このことが国日の授業を受けた理由の一つ。
もう一つは、海外大しか受験しなくて、日本の大学のレベルもあんまり見ないで行ったから、とりあえず日本の大学も見てみたいなと思ってたんだよね。
国際日本学部はアメリカに行く前から知ってたんだけど、その時から、「なんだ!国際日本学部って!?」って思ってて、だっておかしくない?(笑)「国際と日本ってなに?!」みたいな。
帰ってきて、調べてみたら「国際社会の中の日本という意味で、国際日本学部」なんだって知った。
アメリカには、とりあえずコロナが落ち着くまで帰らないことは確定してたから、もし同じオンライン授業受けるなら、日本の大学でも良くない?と思って。
だったらいっそのこと休学して、日本の社会について改めて学ぶために明治大学の授業受けてみようってなって、受けてみた。
なるほどなるほど。
Q2.日本に帰って来てみて、逆のカルチャーショックはあった?
ひー
日本で生きる上で「日本人」が持っている見えない特権についてを、発見できたことかもしれない。
まだアメリカに居たときは、コロナがどんなものか分からなかったから、差別されることはなかった。
田舎だったからみんなそれどころじゃなかったのね。
だけど、「もし私がここで、こんな小さい田舎でコロナにかかったら、きっと受診できる優先度合が低いんだろうな」っていうことを思った。
大学にいた日本人の友達と一緒に「帰ろう」って決めたきっかけは、「どこで自分がコロナにかかりたいかな?」って考えたことだったんだよね。
日本でかかったら誰でも受診できるし、誰でも病院行けるけど、アメリカだとお金もどんだけかかるかわからないし。
しかも、私が住んでたところは、3万人くらいいるのに、病床が200弱くらいしかなくて、「え!?これ死んじゃう」って思った。
で、帰ってきて、「あ、ここならコロナにかかってもいい」と思ったんだよね それで、「あー自分日本人だな」とか、「これが自分の日本人としてのアイデンティティなんだな」って感じた。

コロナに関して、自分は日本にずっと住んでいるし、そんなふうに考えたことがなかったから面白いと思った。確かにね、死にたくないもんね。
Q3.話は変わるけど、ルームメイトと暮らすことでの苦労した話(前編参照)を聞いたけど、そのことを日本で思い出したりする?
ひー
Voice Up JapanでLGBTQIA+の話をするときとかに、1番代表的に思っているのは彼女。
彼女のことを考えながら、話してはいるかな。どういう表現をしたら彼女を傷つけず、かつ尊重できるか。
その「彼女」がいることで、LGBTQIA+との距離がぐっと近づくから、そういうときに考えるかな。
うん、そうだよね。実体験として経験してるかで、全然変わってくるよね。
ひー
うんうん。それはオンラインじゃできないことだと思う。
じゃあ、最後に3つの質問です!
まず1つめからなんだけど、、
今、アメリカに帰る準備を進めているんだよね?
ひー
そう!準備すすめてる!
うんうん。
Q4.コロナのこともいろいろあるけど、今の率直な気持ちを教えて!
ひー
まずは授業についていけるか不安ではある。もう英語どっか消えたから(爆笑)
ほんとどっか消えちゃって、喋れるかな~って(笑)
このまえ授業の履修を組むときに、アメリカの大学の先生と話したら、なんも出てこなくて困った。
でも、この明治での1年も無駄ではなかったと思ってて、日本を知る、日本を好きになるを目標に入って、結果学んだのは、私の中にある日本人的な部分と日本社会を直視することで見えてきた「生きづらさ」を感じる原因や問題点だった。今までは、自己肯定感がすごい低かったけど、今は、コロナ禍で自分が正しいと思った道を選択して切り開いたことで、少しだけ自信ついたから、なんとかやっていけるかなって。
その不安も、楽しみに変えてはいる。
ラスト2つ!
Q5.Voice Up するっていうのが、Voice Up Japanのひとつの大きなテーマだなと思うんだけど、ひーちゃんはこれから社会の中でどういうふうにVoice Up していきたいと思う?
ひー
社会人になるまでのほうが近いから、社会人になることを見据えての話なんだけど、私は政治家にはならないなって思ってて、でも逆に政治の中で、すでに作られてる憲法や法律があるじゃん?
それってほんとに社会で浸透してるかっていうとそうじゃないと思ってて、みんなが育休制度とか100パーセント利用してるわけじゃない。
だから、私は組織内の福利厚生とか人事制度とかを整えることで、憲法が憲法であるだけじゃなくて、ちゃんとその人が生きるうえで、役にたつものにしたいっていう気持ちがある。
まだ全然法律のことは知らないけど、いまの状態だと反映されてるなって思えないじゃん?
だから多様な人々が生きやすい社会作りをしたいなと思ってる。
これがVoice Up に入るかわからないけど(笑)
いやいや、入ると思うよ。全然店長とかが法律のこと知らないこととかあるから、知っている人が言うのってめちゃめちゃ大事だと思う。
ひー
憲法って、理論上の話になりがちじゃない?
だけど、本当は社会のために作ったものだからって思う。

では、最後の質問!
Q6,調子の悪い人や、何かの当事者とか、もちろん何かの当事者じゃなかったとしても、みんな、自分とは違う他人だから、一緒に暮らしていくことって、難しいと思うんだけど、今まさにそのことで苦労していたり、困っていたりする人にアドバイスを求められたら、どういうふうなアドバイスができるかな?
ひー
どっちかが折れて解決できる問題じゃないから、
初めの1歩としては、「どっちかが100%折れるより、両方が10%妥協し合う」っていうほうが、同じ分だけ負担して、同じ分だけ快適に暮らせる。両方が同じくらい妥協しあいながら、でもお互いの居心地の良さを作り上げる努力を惜しまないことが大事だと思う。だから、その心構えをすべきだと思う。
さっき(前編参照)も話したけど、「待つ」ことも大事かな、その人を信頼して待つこと。その人の可能性を信じて待つことも大事だと思う。
お時間いただき、ありがとう!いい話ができたと思うし、私自身もとても参考になりました。
ひー
こちらこそ、ありがとう!
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